山口智子様著 「掛けたくなる軸」 単行本で出版
産着 内田勝己
花嫁御陵(ごりょう)の纏う(まとう)純白の内掛けにはちゃんと意味がある。
お嫁入りして子宝に恵まれたら、産着に作り替えて赤ちゃんに着せてあげるのだ。
虫が付きにくい白い正絹に、すくすくと丈夫に育つ麻の葉にあやかった模様を施す。
霊魂を護る(まもる)要とされる背中には、魔物が入り込まないようにと「背守り」を
糸で縫いつける。
初めて袖のあるものを着せる「袖通し」や、命名を祝う「お七夜」に産着を着せて、
子どもの健やかな成長を祈る。平安貴族による「歩行初め(あるきぞめ)」は、
生後20日を過ぎた頃、吉祥の方角に住む知人を訪ねる習わしで、今の宮参りに
引き継がれている。子どもに「お捨て」や「拾い」と名づけ、家の子ではないと
見せかけて悪霊の目を欺く作戦もあったという。
その昔、やっと世に生まれでた命ははかなく、無事成長することは奇跡のように
稀有なことであった。だから家族が一丸となり真剣に心をかけて、忍び寄る魔を
気合で蹴散らし新しい命を守ってきた。
一針一針、一日一日、元気に幸せにと願う「気」が満ちるところに、
未来への扉が開かれる。
AERAで連載され、私どもの産着もご紹介いただきました、
山口智子様の著書「掛けたくなる軸」が単行本で出版されました。
日本中の多くの職人技と品物に込められた魂が、
山口様の言葉によって映しだされています。









